分娩後に見られる症状やお悩みについて解説

産科診療分娩後の症状や疾患

産道裂傷

子宮頸管裂傷

子宮口がすっかり広がる前にいきみ始めてしまうと頸管裂傷が生じ易くなります。
子宮動脈を損傷して出血する場合には縫って修復します。

腟壁・会陰部裂傷

十分に時間をかけて産道を広げる余裕がないまま分娩となったとき腟壁や会陰部の裂傷が生じ易くなります。
傷跡が目立たないようきれいに修復するために、あらかじめ会陰切開術を実施する方がよい場合もあり、患者さまと相談のうえで対応します。

直腸裂傷

あまり知られていないことですが、実は腟と直腸の境界はうすく出産で容易に損傷する可能性があります。
腟から便がもれないように慎重な修復が必要です。

産後出血

出産後に出血が多くなる原因には産道裂傷、弛緩出血、血液凝固異常(血が止まりにくくなる状態)などがあるとされています。
対処が遅れてショック状態になることを予防するため、当院では全妊婦さんに対して、お産直前に点滴(ふだんは水分補給のみ、必要に応じて子宮収縮薬や抗ショック薬などを素早く開始するため投与ルートの確保が目的です)を開始しています。実際に産後出血が起きた場合は、出血の状況をみながら高次医療施設と連携して対応いたします。

産後乳腺炎

授乳が始まってから母乳の産生と赤ちゃんの消費にバランスが崩れてしまうと乳腺炎が発生してしまいます。
妊娠初期から母乳育児に対するイメージをしっかり持って乳房の手入れをこまめに行い、臨月に入ったら乳房マッサージを開始し、お産後にはお母さんと赤ちゃんの個性に一番フィットしたオンリーワンの授乳方法を試行錯誤しながら気長に実施してゆくことが大切です。

当院では、母子ともに納得の授乳育児が確立できるまで、ゆっくりおつきあいします。
ご遠慮なくわからないことはお尋ねください。

うっ滞性乳腺炎

乳房の奥で産生された母乳が乳頭から分泌されるまでの通り道(乳管)が渋滞してしまうトラブルを、うっ滞性乳腺炎といいます。
乳房の一部(ひどくなると全体)が母乳のたまりとなって固くなり、痛みや発熱を伴うようになります。患側のわきの下で熱をはかると39度近くまで上昇して驚くかたもいますが、あわてず反対側のわきの下やひじではさんで測りなおすと平熱なことが多いです。
スタッフの支援で効果的な乳房マッサージを実施すれば改善することがほとんどです。

化膿性乳腺炎

うっ滞性乳腺炎に細菌感染が伴い、患部は赤くなって痛みが強くなるだけでなく悪寒(さむけ)やふるえとともに高熱がでる状態を化膿性乳腺炎といいます。
抗生物質や消炎鎮痛薬の投与で改善せず膿が溜まるほどになった場合は針を刺したりメスで切開したりして膿を除去しないとショックにまで至る恐れがあり慎重な管理が必要です。

マタニティブルー

産後2~3日目で一時的に出現する、不安・焦り・集中力低下・涙もろくなるなどの気分が沈む状態をマタニティブルーといいます。出産による急激なホルモン変化やイメージと異なる産後の生活、病院職員や家族の何気ないひと言などが引き金となる場合があります。

一般的には自然軽快するので周囲の理解とサポートで孤立させない環境を大切にします。患者さまも、たとえ初めての出産でなくても(もちろん、初めてならなおさらですが)生まれたばかりのお子さまと最初からスムーズなコミュニケーションがとれないことは十分あり得るので、お母さんと赤ちゃんの個性にあわせた、オンリーワンの育児方法を試行錯誤しながら気長にすすめてゆくことが大切です。

当院では、母子ともに納得の育児が確立できるまでゆっくりおつきあいします。
ご遠慮なくわからないことや不安なことはお尋ねください。

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